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Japanische Klassiker mit Furigana

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おうごんかめん

黄金仮面

江戸川 乱歩

Lesen Sie 黄金仮面 (おうごんかめん) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.357 Zeichen · 287 Bildschirme

Aozora Bunko

彼は逃げ出した足を止めないで、元の怪屋へ取って返した。そこにまだ、仕残した用事がある様な気がしたからだ。

月あかりの生垣の外を、ブラブラ歩きながら、何かを発見しようとあせった。賊が庭の真中で煙の様に消え失せた奇蹟、その賊がいつの間にか明智の自動車の運転台に納まっていた、あの不思議な謎を解こうとあせった。

生垣に沿って、浅い溝が続いていた。彼はその溝の外を、何か口の中でブツブツ呟きながら、歩いて行った。

ふと耳をすますと、どこからか妙なうなり声が聞えて来た。確かに人間の苦悶の声だ。見渡した所、どこにも人の影さえなくて、うなり声だけが、耳のそばに聞える。又しても降りそそぐ月光の怪異だ。

「誰だ。どこにいるんだ」

呶鳴って見ると、我が声も月にこだまして、飄々として空に消えて行く様な気がした。

「ウウ……」

だが、うめき声は、答える様に大きくなった。地から湧く声だ。

彼は思わず足元に目をやった。かれた溝が帯の様に続いている。月光はその溝の中にまで潜び入って、美しい縞を作っている。

アア、いたいた。二間程向うの溝の中に蠢いているのは確かに人間だ。とうとう彼の探し求めていたものが見つかったのだ。