Japanische Klassiker mit Furigana
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おうごんかめん
黄金仮面
江戸川 乱歩
Lesen Sie 黄金仮面 (おうごんかめん) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.357 Zeichen · 287 Bildschirme
人々がかけ寄って、いまわしい仮面をはごうとすると、その中は空っぽで、何もありませんでした。つまり『赤き死の病』そのものが、どこからか僧院の中へ忍び込んで来たという訳です。そして、僧院内の人々は、忽ちその病に感染して、身体から血を吹き出して、断末魔のもがきを、もがきながら、死に絶えてしまいましたとさ」
三人目が、お話の結末をつけた。
「君、そんな話をしてはいけませんね」
ルージェール伯がそれを聞きつけて、不気味な物語を打切らせようとしたが、もうおそかった。
いつの間にか、そこへ集っていた婦人達は、この話を聞いて、顔色を変えた。
「マア、気味が悪い。伯爵様は、本当にいけないいたずらをなさいますわ」
一人の婦人が、ゾッとした様に呟くと、それが、奇妙な谺となって、耳から耳へと伝わって行った。男達でさえ、ふと身内が寒くなるのを感じた。
それから又、数番の舞踏があったけれど、誰も妙に気乗りがしなかった。奥の部屋の大時計の音ばかりが、耳についた。
黒い部屋に入るものは、一人もなかった。何故ならば、夜も漸く更けて来たし、それにかの血色の薄絹を通して、流込む光の赤さが、いよいよ不気味に冴えて来たからである。