Japanische Klassiker mit Furigana
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おうごんかめん
黄金仮面
江戸川 乱歩
Lesen Sie 黄金仮面 (おうごんかめん) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.357 Zeichen · 287 Bildschirme
「このアトリエには、わしの命より大切なものがあるのだ。傭人達では信用が出来ません。是非お前に番をして貰わねば」
雲山氏はいつもそんな風に云っていた。
「その大切なものというのは、お父さまのお刻みになった仏像のことですか」
令嬢が尋ねると、
「それもそうだが、もっともっと、命に換え難いものがあるのだ。お前に云った所で分りはしない。兎も角、お客さんであろうが、召使であろうが、わしの留守中は決してアトリエへ入れてはならぬ。まして夜中に泥棒でも忍び込む様なことがあったら、必ず枕もとのベルを鳴らして傭人を呼び集め、泥棒を追払ってくれなくてはいかん」
雲山氏はくどくどと注意を与えた。
「マア、何て疑い深いお父さまだろう」
絹枝さんは口にこそ出さね、心では、我親ながら、余りの猜疑心を浅間しい様に思ったが、父の云いつけにはそむかれぬ。雲山氏が旅をする毎に、淋しさをこらえて、召使達から遠く離れた、一軒家みたいな洋館のベッドにやすむことにしていた。
その夜、絹枝さんは、何故か妙に眠れなかった。
「あすはお父さまがお帰りなさる。そうすれば、こんな淋しいベッドにやすまなくともよい」