Japanische Klassiker mit Furigana
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おうごんかめん
黄金仮面
江戸川 乱歩
Lesen Sie 黄金仮面 (おうごんかめん) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.357 Zeichen · 287 Bildschirme
と思うと夜の明けるのが待遠しかった。あたりは海の底の様に、異様に静まり返っていた。誰も彼も死んだ様に寝静まっていた。広い世界に起きているのは彼女たった一人だと感じると、ゾーッと寒気がした。
「何時かしら」
と寝返りをして、枕もとの置時計を見ると、もう一時を過ぎていた。
「オヤ、あれは何だろう、こんな所に手紙なぞ置いてなかった筈だが」
絹枝さんは不審に思って、置時計の前を見た。そこにまだ封を切らぬ一通の封書が投出してあったからだ。
寝ながら手を伸ばして、取って見ると、封書の表にはただ「お嬢さま」と書いてある。裏を返して見たが、差出人の名前がない。
「誰がこんなものを置いて行ったのかしら」
彼女は何気なく封を切って、中の手紙を読んだ。
「この手紙を見た瞬間から、あなたはどんなことがあっても、絶対に声を立ててはいけません。身動きしてはいけません。若しこの命令に背くと命がありませんよ」
手紙にはこんな奇妙な文句が記してあった。
絹枝さんは、それを読むと、心臓の皷動がパッタリ止った感じで、手紙を床に投げ捨てた切り、身動きが出来なくなった。叫ぼうにも、喉がつまって声が出なかった。