Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おうごんかめん

黄金仮面

江戸川 乱歩

Lesen Sie 黄金仮面 (おうごんかめん) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.357 Zeichen · 287 Bildschirme

Aozora Bunko

屋根の頂上の金色の棒から、ブランと下って、巨大な時計の振子みたいに、右に左に揺れている、黄金の守宮、その鍍金仏の様な、仮面の口辺には、おびただしい鮮血が、ギラギラと輝いている。

塔上に追いつめられて、進退谷った怪物は、おめおめ降伏せんよりは、寧ろ死を選んだのである。彼は黄金仮面、黄金衣裳のまま、身につけていた革帯を頂上の棒にかけて、魔界の勇士にふさわしく、はれがましき縊死をとげた。彼は顔から胸から一面の血を吐いて、苦しさの余りに、時計の振子みたいにもがき廻っているのだ。

「死んだ」「死んでしまった」

数千の群集の口から、同じ言葉が、どよめきとなって響き渡った。彼等はこの悪魔の死に安堵を感じたのか。イヤイヤそうではない。彼等は激しい失望に襲われたのだ。この金色の英雄の、余りにもあっけない、死を痛む嘆息だ。

警官の一隊は直ちに塔上へ駈上ったが、怪物ならぬ彼等には、足場がなくては屋根へ昇る力はない。イヤ、屋根の出張りが邪魔になって金色の縊死体を見ることさえ出来ぬ。何を慌てているのだ。駈け上る先に、足場を拵える仕事師を呼びに走るのが順序だ。

「誰か、博覧会の建築事務所へ走って、足場の材料を持って仕事師をつれて来る様に云ってくれ給え」