Japanische Klassiker mit Furigana
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おうごんかめん
黄金仮面
江戸川 乱歩
Lesen Sie 黄金仮面 (おうごんかめん) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.357 Zeichen · 287 Bildschirme
警部が命ずると、隅の暗闇から、博覧会使用人の制服制帽をつけた、背の高い男がヒョッコリ出て来て、モグモグと何か云った。
「私が行って参りましょう」
という様に聞えたが、何となく人間離れのした声音だ。併し、その際誰一人そんなことを注意するものはなかった。
「アア、君も昇って来ていたのか。探照燈の係だね」
「ハイ」
「じゃ、君一走り行って来てくれ給え」
探照燈係は、飛ぶ様に螺旋階段を降りて行った。
残った警官達は、イライラしながら、手持無沙汰に佇んでいたが、ふと気がつくと、探照燈係りの道具箱のそばに、一挺のピストルが光っていた。
「アア、あいつ、ピストルをこんな所へ落して行ったのだな」
一人の警官がそれを拾い上げて一同に示した。
「ナアンだ。それじゃ、屋根へ昇った時には、あいつ、ピストルを持っていなかったんだ。何もビクビクすることはなかったんだ」
他の警官が呟いた。
「オヤ、変だぞ」ピストルをひねくり廻していた警官が頓狂な声で云った。「オイ、諸君。僕たちがあんなにおどかされた、このピストルは、君、おもちゃだぜ」
検べて見ると、確かにおもちゃのピストルだ。賊は芝居の楽屋にあった小道具のピストルを持出して、さも本物らしく振廻していたのだ。