Japanische Klassiker mit Furigana
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おうごんかめん
黄金仮面
江戸川 乱歩
Lesen Sie 黄金仮面 (おうごんかめん) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.357 Zeichen · 287 Bildschirme
侯爵は、客を残して、小雪の案内で湯殿へと駈けつけた。騒ぎを聞いた書生もあとに続く。
湯殿に来て見ると、美子姫は、半身を大理石の浴槽につけて、のけざまに、空を掴んで絶命していた。その胸のムックリと高い乳房と乳房の谷間には、黄金の柄の立派な短剣が、真直ぐに突き立って、その傷口から、ドクドクと、美しい深紅の泉がふき出していた。
侯爵はスリッパのまま浴槽に近づいて、姫の死体を抱えながら、
「オイ、三好を呼ぶんだ。それから波越警部にも知らせるのだ」
と命じた。
書生が走る。やがて波越警部を先頭に、刑事や召使など、殆ど家内中のものが、殺人現場へ集まって来た。
調べて見ると、姫は心臓をえぐられて、全くこときれている。最早や手のほどこし様がない。短剣はどうして盗み出したのか、書斎に置いてあった侯爵秘蔵のスペイン製のものであった。
賊の出入口は、庭に面した湯殿の窓の外にはない。波越警部は部下を引連れて庭に廻り、一足の足駄の跡をたよりに、庭の奥、塀の外まで隈なく検べたが、何の得る所もなかった。足駄の跡は窓から五間程で固い地面に消えていたので、賊の逃走した方角を定めることも出来ぬのだ。