Japanische Klassiker mit Furigana
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おうごんかめん
黄金仮面
江戸川 乱歩
Lesen Sie 黄金仮面 (おうごんかめん) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.357 Zeichen · 287 Bildschirme
第一、その様な隙がない。追手の船は瞬く間に、岬の向側まで見通しの利く場所に達した。
見ると、モーターボートは、岬の蔭で方向を転じたと見え、湖水の中心に向って、驀地に進んで行く。船尾にうずくまる黄金仮面の異様な姿は、巨大な金塊の様に、ギラギラと輝いて見える。
爽快なる湖上の追撃戦。
静かな水面を、真二つに切裂いて進む船首。舟全体が見えなくなる程の水煙。見事な尾を引く二条の白浪。命がけのボートレースだ。
漁師が自慢したのは嘘でない。機械力の相違は是非なく、両船の距離は見る見る狭まって行く。
二名の刑事は、黄金仮面の狂暴に備える為、特にピストル携帯を許されていた。彼等は舟が着弾距離に近づくと、そのピストルを高く掲げて、逃げ行くボートを威嚇した。
「オーイ、舟を止めろ、でないと打ち殺すぞ」
だが、ボートの上の黄金仮面は身動きもしない。傍目もふらず、行手を見つめたまま、変らぬ全速力で進んで行く。
追手の舟から一団の白煙が立昇ったかと思うと、湖面に伝わる銃声。態と狙いをはずした威嚇の一弾が発射されたのだ。
それでも、強情な小娘は、見向きもしない。エンジンにしがみついたまま化石したかと疑われる程だ。