Japanische Klassiker mit Furigana
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おうごんかめん
黄金仮面
江戸川 乱歩
Lesen Sie 黄金仮面 (おうごんかめん) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.357 Zeichen · 287 Bildschirme
話しかけた少女は長い欠伸をしたかと思うと、これも目を細くして、動かなくなってしまった。
やがて、途方もないことが始まった。四人の看守が四人共、ポッカリ口を開き、涎を垂らして居眠りを始めたのだ。それも舟を漕ぐという様な生やさしい眠りではない。皆身体を二つに折って、膝の間へ首を突込むばかりにして、僅かの間にたわいもなく眠りこけてしまったのだ。男看守などは、椅子からずっこけて、変な恰好で地面に蹲ってしまった程だ。だが、位置の関係上外の看守達にはこの有様は少しも見えぬ。誰も気がつく者はない。御巡覧まで余す所もう十分だ。
その時一人の洋服男が、ソフト帽をまぶかに、オーヴァの襟を立て、大きなハンカチで顔を隠す様にして、何か急用でもあるらしく、急ぎ足で、居眠り看守の一廓へ近づいて来た。
外の通路の看守達は誰一人この男を疑うものはなかった。疑いをさしはさむには、彼の態度は余りにも圧倒的で、自信に満ちていたからだ。若い娘達は彼を御警衛の私服刑事と思込んだ。彼女等はそれが御巡覧の先振れでもある様に、坐様を直して、一層身を堅くした程である。
男は居眠り看守の一廓にたどりつくと、よく寝込んでいる四人の者を見廻わして、安心した様に顔のハンカチを取った。