Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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あらじょたい

日本の文学 9 徳田秋声(一)

徳田 秋声

Lee 日本の文学 9 徳田秋声(一) (あらじょたい) de 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 346.393 caracteres · 692 pantallas

Aozora Bunko

その間にも、お今は自分の手で切盛りをする世帯の楽しさや、人妻としての自分の矜りなどを、時々心に描いていた。財産家だという室の家を相続する日を考えるだけでも、お今の不安な心が躍るようであった。

「ほんとにお前さんは幸せだよ。辛抱さえすれば、十万円という財産家の家を、切り廻して行けるんだもの。」

室を嫌っているとしか考えぬお増のそういって聞かす言の意味が、お今にはおかしく思えたり、自分から勧めた縁談に、気のいらいらするようなお増が、蔑視まれたりした。

電燈のちらちらするころに、二人は銀座通りをぶらぶら歩いていた。

日の暮れたばかりの街に、人がぞろぞろ出歩いていた。燥いだ舗石のうえに、下駄や靴の音が騒々しく聞えて、寒い風が陽気な店の明り先に白い砂を吹き立てていた。

「こんなところ、いつ来たって同じね。」

お今は蓮葉なような歩き方をして、不足そうに言った。近ごろ出来たばかりの、新しい半コートや、襟捲きに引き立つその姿が、おりおり人を振り顧らせていた。

「どこかもっと面白いところへ連れていって頂戴よ。」

お今は体を浅井に絡みつくようにして低声で言った。

五十七