Clásicos japoneses con furigana
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あらじょたい
日本の文学 9 徳田秋声(一)
徳田 秋声
Lee 日本の文学 9 徳田秋声(一) (あらじょたい) de 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 346.393 caracteres · 692 pantallas
六十九
」
「そうだね。」笹村も溜息をついた。
後で解って来たとおりに、この病院が温かく家庭的に出来ているのが、その晩の医員や女事務員のお世辞ッ気のない態度では、かえってその反対に受け取られた。それも何だか二人には厭であった。
「とにかく院長が診るまで待とう。」
院長はその日は、千葉の分院へ出張の日であった。
寝たまま便を取らせたり、痛い水銀灌腸をとにかく聴きわけて我慢するほどに、子供が病室に馴らされるまでには、それから大分日数がかかった。
「病勢はもっともっと上る。その峠をうまく越せれば、後は大して心配はなかろう。」
入院の翌日に、初めて診察に来た老院長の態度は尊いほど物馴れたものであった。
六十九
病室の片隅に、小さい薄縁を敷いてある火鉢の傍で、ここの賄所から来る膳や、毎日毎日家から運んでくる重詰めや、時々は近所の肴屋からお銀が見繕って来たものなどで、二人が小さい患者の目に触れないようにして飯を食う日が、三十幾日と続いた。患者が人の物を食っているのを見て、柵のなかの猿のように、肉の落ちた頬をもがもがさせて、泣面をかくほどに食欲が恢復して来たのは、院長からやっと二粒三粒の米があってもさしつかえのないお粥や、ウエーファ、卵の黄味の半熟、水飴などを与えてもいいという許しが、順に一日か二日おいては出るころであったが、その以前