Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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あらじょたい

日本の文学 9 徳田秋声(一)

徳田 秋声

Lee 日本の文学 9 徳田秋声(一) (あらじょたい) de 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 346.393 caracteres · 692 pantallas

Aozora Bunko

十一

十一

お庄はごちゃごちゃした裏通りの小路を、そっちへゆきこっちへ脱けしているうちに、観音堂前の広場へ出て来た。紙片、莨の吸殻などの落ち散った汚い地面はまだしっとりして、木立ちや建物に淡い濛靄がかかり、鳩の啼き声が湿気のある空気にポッポッと聞えた。忙しそうに境内を突っ切って行く人影も、大分見えていた。お庄はここまで来ると、急に心が鈍ったようになって、渋くる足をのろのろと運んでいたが、するうちに、堂の方を拝むようにして、やがて仁王門を潜った。

仲店はまだ縁台を上げたままの家も多かった。お庄は暗いような心持で、石畳のうえを歩いて行ったが、通りの方へ出ると間もなく、柳の蔭の路側で腕車を決めて乗った。

「湯島までやって頂戴な。」と、お庄は四辺を見ないようにして低い声で言うと、ぼくりと後の方へ体を落して腰かけた。

上野の広小路まで来たころに、空の雲が少しずつ剥がれて、秋の淡日が差して来た。ぼっと霞んだようなお庄の目には、そこらのさまがなつかしく映った。

お庄は下宿の少し手前で腕車を降りて、それから急いで勝手口の方へ寄って行った。

屋内はまだ静かであった。お庄は簾のかかった暗い水口の外にたたずんで、しばらく考えていた。