Clásicos japoneses con furigana
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あらじょたい
日本の文学 9 徳田秋声(一)
徳田 秋声
Lee 日本の文学 9 徳田秋声(一) (あらじょたい) de 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 346.393 caracteres · 692 pantallas
と、跫音に目がさめて、にっこりともしないで、起きあがって足を崩したまま坐った。それを、ちらりと見た笹村の目には、世に棄て腐れている女のようにも思えた。笹村は黙ってその側を通って行った。
二、三日降り続いた雨があがると、蚊が一時にむれて来た。それでなくともお銀は暑くて眠られないような晩が多かった。そして蚊帳が一張しかなかったので、夜おそくまで、蝋燭の火で壁や襖の蚊を焼き焼きしていた。そんなことをして、夜を明かすこともあった。
「私も四ツ谷の方から取って来れば二タ張もあるんですがね。」
お銀は肉づいた足にべたつくような蚊を、平手で敲きながら、寝衣姿で蒲団のうえにいつまでも起き上っていた。
翌日笹村は独り寝の小さい蚊帳を通りで買って、新聞紙に包んで抱えて帰った。そしてそれをお銀に渡した。
「こんな小さい蚊帳ですか。」お銀は拡げてみてげらげら笑い出した。そして鼠の暴れる台所の方を避けて、それをわざと玄関の方へ釣った。土間から通しに障子を開けておくと、茶の間よりかそこの方が多少涼しくもあった。
「こんなに狭くちゃ、ほんとに寝苦しくて……。」大柄な浴衣を着たお銀は、手足の支える蚊帳のなかに起きあがって、唸るように呟いた。