Classiques japonais avec furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lisez 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 508 883 caractères · 1017 écrans
が、百倍も美しく見えたのであった。
「ウウム、これはまた、がらりと、気が変ってよい」
あまり物を賞めない紹由も、ちょっと毒舌を封じられた態である。敷物もわざと用いず、吉野はただ田舎炉のそばへ一同を招じて、
「ごらんの通りな山家のこと、何もおかまいはできませぬが、雪の夜の馳走には、賤の夫から富者貴顕にいたるまで、火に勝る馳走はないかとぞんじまして、このように、焚火の支度だけは沢山にしておきました。夜もすがら語り明そうとも、薪だけは、鉢の木を燻べずとも、尽きる気づかいはございませぬゆえ、お心やすくおあたり下さいまし」
と、いう。
なるほど――
寒い所を歩かせて来てここで榾火にあたらせる。馳走というのはそういう趣向であったのかと光悦もうなずき、紹由や光広や沢庵も膝をくつろぎ、めいめいが炉の榾火に手をかざしていると、
「さ、そちらのお方も」
と、吉野が少し席を頒けて、うしろにいる武蔵を眼で招いた。
四角な炉を、六人して囲むので、自然緩やかではあり得ない。
武蔵はさっきから、ひどく律義に畏まっていた。日本の民衆の中では今、大閤秀吉や大御所の名に次いで、初代吉野の嬌名は鳴りひびいていた。