Classiques japonais avec furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lisez 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 508 883 caractères · 1017 écrans
四
四
菰は、その態を見て、
「よくも飽きもせず、やってやがるなあ」
ごろんと仰向けに寝て、脚を組んだまま、天井を見ていたが、わいわい連の勝った負けたに、昼寝もならない。
そうかといって、三下の仲間にはいって彼らのふところを搾ってみたところではじまらないので、眼をつむっていると、
「ちぇっ、きょうは、よくよく芽が出ねえ」
と、矢も弾も尽き果てたのが、惨澹たる顔をして菰のそばへ来ては共に、ごろんと枕を並べる。一人殖え、ふたり殖え、ここへ来て寝ころぶのは皆、時利あらずの惨敗組だった。
ひとりがひょいと、
「菰の兄哥これやあ何だい」
彼の懐中から落ちていた――一部の経文へ、手をのばして、
「お経じゃねえかこれやあ。がらにもねえ物を持ってるぜ。禁厭か」
と、めずらしがる。
やっと少し眠くなりかけていた菰は、しぶい眼をあいて、
「ム……それか。そいつあ、本位田のばあさんが、悲願を立てて、生涯に千部写すとかいってる写経だよ」
「どれ」
少し文字の見えるのが、手へ奪って、
「なるほど、ばあさんの手蹟だ。児童にも読めるように、仮名まで振ってあら」
「じゃあ、汝にも、読めるか」
「読めなくってよ、こんな物」