Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lisez 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 508 883 caractères · 1017 écrans
連理の枝
一
「オオ、冷てえ。オオ冷てえ」
眉をしかめていながら、彼はいつまでも足を拭こうともせず、足で水を弄っていた。
この水はすぐそこの銀閣寺の苑内から流れてくる清冽なので、洞庭のそれよりも清く、赤壁の月のそれよりも冷たい。
だが、土は暖かく、彼の腰の下には、花すみれが拉がれていた。城太郎は眼を細めて、こういう日月の下に生を享けている身のほどを、ひとりで楽しんでいるらしく見える。
やがて彼は、濡れた足を草で拭いて、そっと縁側の方へ廻って行った。ここの家は、銀閣寺の別当某の閑宅であったが、ちょうど空いているというので、過ぐる夜の――武蔵と瓜生山で別れたあの翌日から、烏丸家の口添えで、お通のためにしばらく借りうけたものだった。
で――お通は、あれ以来、ずっとここに病を養っていた。
勿論のこと、下り松における決戦の結果は逐一、ここにも伝わっている。
黄母衣組のお使番のように、あの日、城太郎は下り松の戦場と、こことの間を、何十遍となく往復して、手にとる如く、お通の枕元へそれを報告していたからである。
城太郎はまた、彼女の今の体にとっては、薬餌よりもなによりも、武蔵の無事なことを伝えてやるのが、最善な良法であると信じていた。