Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

Lisez 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 508 883 caractères · 1017 écrans

Aozora Bunko

一夕の恋

と、いう。

武蔵はうなずいた。よい教えを受けたと、この機縁に感謝した。

黙然と、権之助も聞いていた。彼にも何か会得するところがあったに違いない。これは、御岳の神の夢想ではない、眼の前に、子が斬られるか生きるかの境を見て、現実の母が、愛の中からつかみ出した「窮極の活理」であった。

木曾の一農夫権之助、後に、夢想権之助と称して、夢想流杖術の始祖となった彼は、その伝書の奥書に、

“導母の一手”

なる秘術を誌して、母の大愛と、武蔵との試合を審らかにしているが「武蔵に勝つ」とは書いていない。彼は生涯、武蔵に負けたと人にも語り、その負けたことを尊い記録としていた。

それはそうと、この母子の多幸を祈って別れ、いの字ヶ原を去って、武蔵が上諏訪の辺りまで行き着いたかと思わるる頃、

「この道筋を、武蔵という者が通らなかったであろうか。たしかに、この道へ来たわけだが――」

と、馬子の立場だの行き交う旅人に、途々訊合わせながら、後を慕ってゆく一名の武家があった。

一夕の恋

一

どうも痛む……。

みずおちの中心を外れて少し肋骨にかかっている。夢想権之助からうけた杖の痛みである。