Classiques japonais avec furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lisez 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 508 883 caractères · 1017 écrans
その証拠には、お通は日増に血色を革め、今では机に倚って坐っていられるくらいにまでなっている。――一度はどうなるかと、城太郎すら心配したほどであった。おそらく、武蔵が下り松で死んでいれば気持だけでも、彼女もあのまま逝ってしまったに違いなかった。
「ああ、お腹が減った。――お通さん、なにしていたんだい」
お通は、彼の元気な顔を、眼に迎えて、
「わたしは朝からただ、こうして坐っていた限り」
「よく飽きないなあ」
「体は動かさないでも、心はさまざまに、遊ばせていますから。――それより城太さんこそ、朝早くから、どこへ行ったんですか。そこのお重筥の中に、きのう戴いたちまきが入っているからお食べなさい」
「ちまきは後にしよう。お通さんに先に欣ばしてやることがあるから」
「なあに?」
「武蔵様ネ」
「ええ」
「叡山にいるとさ」
「ア……叡山へ」
「きのうも、おとといも、その前も、毎日のように、おいら方々聞いて歩いていたんだよ。――するとね、きょう聞いたのさ。武蔵様は、東塔の無動寺に泊っているって」
「……そう。……ではほんとに御無事でいらっしゃるのだわ」
「そう分ったら、一刻も早くがいい、またどこかへ行っちまうといけないからね。