Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lisez 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 508 883 caractères · 1017 écrans
「……ア、ア」
武蔵は、顔を俯つ伏せて、草へ泣き伏した。
きょうまでの切瑳琢磨も、一敗地にまみれて、すべての精進苦行も、ここに空しく崩れてしまったかと思うと彼は悲しい。童が掌の中の木の実を失ったように悲しいのだ。
自分に唾したいような忌々しさから、さも忌々しげな忍び泣きを洩らして大地へ伏していた。日輪へ対して顔を上げ得ないようにいつまでもそうしていた。
(おれは悪くない!)
自分の行為に対して、彼が心の中で頻りにそう呶鳴ってみるもののそれで心は澄んで来なかった。
(分らないっ、分らない)
彼には、処女心の清純というものを、この時、可憐いと思うような余裕はなかった。たとえ白珠のように顫きやすく、感じやすく、無碍なる人の手を恐れるものにしろ、それを女性の一生を通じて、ある期間だけにある、最高な心情の美であるとか、尊いものであるとかで、そんな愛しみを持って、今、この時、思い遣ることはできなかった。
しばらくの間――そうして俯ッ伏したまま、土のにおいを嗅いでいるうちに、彼はやや落着いた。むくりと起ち上がった。もう先刻の充血した眼ではない。その顔はむしろ蒼白かった。