Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lisez 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 508 883 caractères · 1017 écrans
八
もしお通にその災難がかかって来なかったら、自分は、この権之助に会う機会はなかったろう。そしてあの棒の秘術も見る折がなかったに相違ない。
流転の中で、お通と行きはぐれてしまったことは、彼女の生命につつがない限り、やむを得ない災難と思うしかないが、もしこの世において、権之助の棒術に出会わずにしまったら、武芸の道に生涯する自分として、大なる不幸であったろうと思う。
――で、折もあらば、彼の素姓を問い、その棒術についても深く糺してみたいと先刻から考えていたが、武道のことと思うと、不しつけに訊きかねて、つい折もなく歩きつづけていると、
「旅の者、そこに待っていろ。――あの家だが、もう寝ているにきまっているから、おれが起して訊いて来てやる」
木々の中に沈んで見える一軒の藁屋根を指さすと、権之助はひとりで、そこらの崖藪を掻きわけ、がさがさと駈け降りて、そこの戸を叩いていた。
八
程なく戻って来た権之助が、武蔵へ向って告げることには。
どうも雲をつかむような返辞ばかり、ここに住む猟師の夫婦も、こちらの尋ね事については、さっぱり要領を得ないが、ただ内儀さんが夕方、買物に出た帰り途、街道で見かけたという話は、ことによると一縷の手懸りといえるやも知れない。