Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

Lisez 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 508 883 caractères · 1017 écrans

Aozora Bunko

と、いった。

そして、なお、

「――その憂いはまた、幕府の横暴にあるのでござりまする」

と、いい足した。

湖水のゆるい波音のあいだに、白々と燈は揺れていた。

「武蔵どの。――尊公はいったい、誰のために、剣を磨こうとなされるか」

こんな質問は、受けたことがない。武蔵は率直に、

「自分のために」

と、答えた。

外記は大きく、

「ム。それでいい」

と頷いたが、またすぐ、

「その自分は、誰のために」

と、たたみかける。

「…………」

「それも自分のためか。まさか尊公ほどな精進を持つ者が、小さな自己の栄達だけでは、ご満足がなるまいが……」

話は、こんな緒口から始まったのである。いやむしろ外記がこんな緒口を自分でつくって、自分の話したい本心を披き出したといったほうが適切かも知れない。

彼の話によると、今、天下は家康の手に帰して、一応、四海万民みな泰平をたたえているやに見えるが、いったい、ほんとに民のために幸福な世の中が出来たろうか。

北条、足利、織田、豊臣――と長いあいだにわたって、いつも虐げられてきたものは、民と皇室である。皇室は利用され、民は値なき労力のみにこき使われ――両者のあいだにただ武家の繁栄だけを考えて来たのが、頼朝以後の武家政道――それを倣った、今日の幕府制度ではあるまいか。