Classiques japonais avec furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lisez 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 508 883 caractères · 1017 écrans
お待ち申すぞ」
そういって、一夜の友は、すたすたと和田峠の方へ一足先に行ってしまった。何となく心ひかれる姿だった。そして武蔵は心のうちで、いつか、伊達の藩地を訪ねてみようとその時思った。
その時代、こういう旅人に出会うことは、武蔵ばかりでなかったろう。なぜならば、まだ明日をも知れぬ天下の風雲である。諸国の雄藩は頻りと人物を求めている。路傍からよい人物を見出して行って、主君へ推挙することは、家臣として、大きな奉公の一つだからであった。
「旦那、旦那」
後ろで誰か呼びかける。
一度和田の方へかかりながら武蔵がまた、足を回らして、下諏訪の入口へもどり、甲州街道と中山道のわかれに立って、思案にくれていると、その姿を見かけて来た宿場人足たちの声なのである。
宿場人足といっても、荷持もあれば馬曳きもあるし、これから和田へかけては登りなので、極めて原始的な山駕の駕かきもいる。
「――何か?」
と、武蔵はふり返った。
その姿を、無作法に眼で撫で廻しながら、人足たちは木像蟹のような腕を拱んで近づいて来た。
「旦那あ。さっきからお連れを探している様子だが、お連れは別嬪ですかえ。