Classiques japonais avec furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lisez 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 508 883 caractères · 1017 écrans
七
それもたった一行、
当座の御費用に被成べく候外記
としか書いてない。
けれど少なからぬ金である。この一行が何をいっているか。武蔵にはわかる気もする。要するにこれは、伊達政宗ばかりでなく、諸国の大名がやっている一つの政策である。
有為の人材を常に召し抱えておくことはむずかしい。しかし時代の風雲は、愈※(二の字点、1-2-22)、有為な人材を要望している。関ヶ原くずれの浮浪人は、路傍に満ちて、禄を漁りあるいているが、さて、これはという人材は極めてない。あれば忽ち、家の子郎党の厄介者付きでも、何百石、何千石の高禄で、すぐ売れ口がついてしまう。
いざ戦――という日でも、集まる雑兵はいくらでも集まるが、求めても容易く来ないような人物を、今は各藩で血眼に探しているのだ。そして、これはと思う人物には、何らかの方法で、必ず恩恵を売っておく。或は黙契をむすんでおく。
その、大物どころでは、大坂城の秀頼が、後藤又兵衛に捨て扶持をやっていることは天下の周知である。九度山に引籠っている真田幸村へ、年ごとに、大坂城からどれほどな金銀が仕送りされているかくらいなことは――関東の家康でも調べ上げているところであろう。