Classiques japonais avec furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lisez 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 508 883 caractères · 1017 écrans
と、職を捜した。
元より、職をさがして歩くにも、お通は一刻も放さない。
(上方から来た夫婦者で――)
と、どこへ行っても、自称していたのである。
江戸城の改築をしているので、石工、左官、大工の手伝いなどならその日からでも、仕事があったが、城普請の労働の辛い味は、伏見城でもさんざん嘗めているので、
(どこか、夫婦して働けるような所か、家にいてやる筆耕みたいな仕事でもありますまいか)
と、相変らず、優柔不断なことばかりいい歩いているので、多少肩身を入れかけてくれた者も、
(いくら江戸でも、そんな虫のいい、お前方の注文どおりな仕事があるものか)
と、あいそをつかして、見向きもされなくなってしまうという風であった。
――そんなことで、幾月かを過ごすうち、お通は、努めて、彼に油断させるよう、貞操にふれない限りでは、何でも、素直になっていた。
そのうち、彼女は或る日、往来を歩いていると、二階笠の紋をつけた挟み箱や塗り駕籠の行列に行き会った。路傍に避けて礼を執る人々の囁きを聞くと、
(あれが、柳生様じゃ)
(将軍家のお手をとって、御指南なさる但馬守様じゃ)
――お通はふと、大和の柳生ノ庄にいた頃を思い出し、柳生家と自分との由縁を考え、ここが大和の国であったらなどと、儚い頼りを胸に抱いて、その時も、又八が側にいたので茫然と見送っ