Classiques japonais avec furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lisez 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 508 883 caractères · 1017 écrans
「――や、武蔵?」
不用意に、誰かがこう放った一声に、
「来たか」
焚火を囲んでいた面々が、腰を蹴られたように、一度にどっと立って、その袂やその裾から、火の粉の塵が雪の空へ赤く散った。
三十三間堂の長い建物の角に現われた黒い人影は、遠くから手をあげて、
「わしじゃ、わしじゃ」
と、断りながら近づいて来た。
袴を短くからげて、かいがいしい支度はしているが、腰から背はもう弓になりかけている老武士なのである。門弟たちはそれを見ると、源左衛門様だ、壬生の御老人だといい合って、ひそまり返った。
壬生の源左衛門というこの老武士は、先代吉岡拳法の実弟にあたる人で、つまり拳法の子の清十郎や、ここにいる伝七郎にとっては実の叔父にあたる者だった。
「おう、これは壬生の叔父上、どうしてこれへ」
伝七郎も、この人が今夜ここへ来るなどとは思ってもいなかったらしく、意外な態で迎えると、源左衛門は火のそばに来て、
「伝七郎、おぬしほんとに、やるのじゃなあ。……いや、おぬしのその姿を見て、ほっと安堵いたした」
「叔父上にも、一応ご相談にあがろうと思っていましたが」
「相談、なんの、相談などに及ぼうか。