Classiques japonais avec furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lisez 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 508 883 caractères · 1017 écrans
六
そのうちに光広が、
「やっ、近衛どのは、いつの間に帰ってしもうたのか」
と、不平に醒め、紹由もまた、興ざめたように顔を革めて、
「それよりも、吉野がおらぬ」
と、いい出した。
「怪しからぬこと」
光広は、隅の方で居眠っていた禿のりん弥へ、
「吉野を呼んで来やい」
と、いいつけた。
りん弥は、眠たげな眼をまろくして、廊下を立って行った。そしてさっき光悦や紹由の通った座敷を何気なく覗くと、そこにたった一人、いつの間に戻って来たのか、武蔵が白い灯と顔を並べて、寂然と坐っていた。
六
「あれ、いつの間に。……ちっとも知らなかった、お帰りなさいませ」
りん弥の声に、武蔵が、
「今戻って来ました」
「さっきの裏口から?」
「うむ」
「どこへ行って来たんですか」
「廓外まで」
「いい人と、約束があったんでしょう、太夫様へいいつけて上げよう――」
ませた言葉に、武蔵は思わず笑って、
「皆様のすがたが見えぬが、皆様はどうなされたか」
「あちらで、かんがん様やお坊様と一緒になって、遊んでいらっしゃいます」
「光悦どのは」
「知りません」
「お帰りだろうか。光悦どのが帰られたら、拙者も帰りたいと思うが」