Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lisez 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 508 883 caractères · 1017 écrans
二
御住持にも、どうかお礼をいっておいてください」
「観音様をお彫りになるなら、中堂へ参りますと、誰とかいう名人の彫ったという作のよい観音様がありますよ。御飯がすんだら、それを見に行きませんか」
「それはぜひ見ておきたいが、中堂まで、道はどれほどあろうかな」
二
稚児僧は、答えていう。
「ハイ。ここから中堂までの道は、わずか十町ほどしかございません」
「そんなに近いのか」
そこで武蔵は、食事が終ると、そのお小僧に伴われて、東塔の根本中堂まで行ってみるつもりで、十幾日目で、久しぶりに大地を踏んだ。
もうすっかりよくなったつもりでも、土を踏んで歩いてみると、左の脚の刀痕がまだ傷む。腕にうけた傷痕にも、山風が滲み入るここちがする。
けれど、颯々と、鳴りゆらぐ樹々のあいだに、山桜は散って飛雪を舞わせ、空はやがて近い夏の色を湛えかけている。武蔵は、萌え出る植物の本能のように、体のうちから外へ向って象われようとして熄まないものに、卒然と、筋肉がうずいてくるのを覚えた。
「お客様」
と、稚児僧は、その頭を見あげ――
「あなた様は、兵法の修行者でいらっしゃいましょう」
「そうだ」
「なんで観音様なんか彫っているんですか」