Classiques japonais avec furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lisez 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 508 883 caractères · 1017 écrans
(なんだ、こんな青二才が)
と、一見して思わせる程度の柔弱な扮装なのである。
そこで又八は、ふふんと、鼻の先で安心したものなのだ。こんな相手ならいくらでもお相手申してさしつかえない。夕方ぶつかった六部のような人間では不気味だが、もう二十歳も超えながら、前髪や若衆小袖でぺらぺらしているような柔弱者に、よも負けを取ろうとは思われない。
(こいつが、朱実を苦しめているのか。生意気な青びょうたん奴が。どういう理かまだ聞いていないが、いずれ、朱実を追い廻して、ひどい目に遭わせているのだろう。――よし、懲らしてやろう)
こう又八が胸のうちで、余裕のあるところを示して沈黙していると、前髪の若衆武士は三度口をひらいて、
「何者だっ? ……汝は」
と、いった。
すがたに似あわない猛々しい声であって、三度目の一喝は殊さら辺りの闇を払うように颯爽としていたが、すでに相手のかっこうで頭から敵を呑んでいた又八は、
「おれか、おれは人間だ」
と、こう揶揄い半分に出て、笑う必要もないこの際に、強いて、にんやりと顔を歪めて見せたものである。
果たせるかな、前髪は、くわっと血を顔へのぼせたらしい。