Classiques japonais avec furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lisez 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 508 883 caractères · 1017 écrans
六方者ということばは、無法者にも通じる。柄の長い大小を突出し、二本のから脛と、二本のこじりを突っ張って歩く男だての姿から来た町の綽名なのである。
「宮本武蔵という侍が立ち廻ったら、すぐあのばば殿へ知らせてやれ」
半瓦の身内は、等しくこう心がけていたが、すでに一年半からになるが、その武蔵の名は杳としてこの江戸には聞かなかった。
半瓦弥次兵衛は、お杉ばばの口から、その意志や境遇を聞いて、甚だしく同情を抱いたのである。で、彼の持った武蔵観は、当然、お杉ばばの武蔵観であった。
「えらい婆殿だ。憎むべき野郎は武蔵とやらだ」
そうして彼は、お杉ばばのために、裏の空地へ一室を建ててやったり、家にいる日は、朝夕、挨拶に出たりして、賓客に仕えるように、このばばを大事にした。
乾児が、彼に訊ねた。
「お客を大事になさるのはいいが、親分ともあろう者が、どうして、そんなに鄭重になさるんですかえ」
すると、半瓦はこう答えた。
「この頃おれは、他人の親でも年よりを見ると、親孝行がしたくなるんだ。……だから俺が、どんなに、自分の死んだ親には、親不孝だったか分るだろう」
二
町なかの野梅は散った。