Classiques japonais avec furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lisez 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 508 883 caractères · 1017 écrans
かんな屑
一
まして、酒もある。
新鮮な魚鱗もある。
それに、婆と小次郎とは、以前からふしぎに、気心も合い、その後の話も積もるほどあって、
「相変らず、御修行かの」
と、ばばがいえば、
「そちらの大望はまだか」
と、小次郎が訊く。
ばばの大望とは、いうまでもなく「武蔵を討つ」ことにあるが、その武蔵の消息が、この頃はとんと知れないので――といえば、小次郎が、
「いや、昨年の秋から冬頃までの間に二、三の武芸者を訪れたうわさがある。まだ多分、江戸表にいるにちがいない」
と、小次郎が力づける。
半瓦も口を出して、
「実は、手前も及ばずながら、ばば殿の身の上を聞いてお力添えをしておりますが、武蔵とやらの足どりが今のところ皆目、分らねえので」
と、話は婆の境遇を中心としてそれからそれへ結びつき、
「どうぞ、これからご懇意に」
と、半瓦がいえば、
「わしからも」
と、小次郎は、杯を洗って、彼のみでなく、乾児たちへも、順々に廻して酌ぐ。
小次郎の実力は、たった今、河原で見ているので、打ち解けると、お稚児も菰も、無条件に尊敬をはらった。また、半瓦の弥次兵衛は、自分の世話している婆の味方というので、肝胆を照らし合うところがあり、婆は婆でまた、多くの後ろ楯に囲まれて、