Classiques japonais avec furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lisez 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 508 883 caractères · 1017 écrans
入城府
一
そこには、江戸町奉行の職制ができてから、初めての初代町奉行、青山常陸介忠成の手の者が、
「待て」
「よろしい」
などと、いちいち通行人検めをしていた。
(ははあ、だいぶ江戸の神経も、尖っておるな)
と、武蔵はすぐ思った。
三年前、中山道から江戸へ足を入れて、すぐ奥羽の旅へ向った時、まだ、この都市の出入りはさほどでなかった。
それが、急激にこう厳重になったのはなぜか?
武蔵は、伊織を連れて、木戸口に順々に並んでいる間に考えた。
都市が都市らしくなって来ると必然に、人間が殖える、人間の中の種々な善業悪業が相剋し合う。制度が要る、制度の法網を潜る方も活溌になる。そして栄えを祈る文化を打ち建てながら、その文化の下で、もう浅ましい生活や慾望が血みどろで地上に噛み合う。
それもあろう。
がまた、ここが徳川家の将軍所在地となると共に、大坂方に対する警戒も、日に増して厳密を要するのであろう。――何しろ大川を隔てて見ても、この前、武蔵が見た江戸とは、家々の屋根が殖えていることや、緑が目立って減っていることだけでも、隔世の感があった。
「御牢人は――?」
そう呼ばれた時は、もう革袴を穿いた二人の木戸役人に、武蔵は、懐中から背や腰の――体じゅうを撫でまわされていた。