Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lisez 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 508 883 caractères · 1017 écrans
むろん、刃は鞘を脱し、そして鞘へ返っていたのであるが、肉眼で見える速度ではない。ただ、一線のほそい光が、相手の北条新蔵の首すじのあたりへ、キラと、届いたか、届かないかと、思えたくらいなものであった。
だが――
新蔵の体は、まだ股を踏みひらいたまま立っているのだ。血らしいものは、どこにも流れてはいない。けれど、何かの打撃をうけたことは事実である。なぜなら、刀は中段に支えたまま持っているが、左の片手は、左の首すじを、無意識に抑えていた。
――と。その体を挟んで、
「あっ? ……」
これは、小次郎の声とも、後ろの闇でした声とも、どっちつかない所から起ったのである。小次郎もそれに依ってすこし慌て、闇の中から駈けて来た跫音も、それに依って、足を速めて来た。
「おおっ、どうなされた」
駈けつけて来たのは、耕介であった。棒立ちの男の姿勢が、すこしおかしいと思ったので、抱き支えようとすると、とたんに北条新蔵の体は、どたっと朽木だおれに、あやうく大地へ仆れかけた。
耕介は、両の手に不意の重みをかけられて驚きながら、
「やっ、斬られてるな。――誰か来てくれいっ。往来の衆でも、この近くのお人でも、誰か来てくれ。