Classiques japonais avec furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lisez 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 508 883 caractères · 1017 écrans
二
武蔵が、小次郎の凡物でない点を揚げて称揚すると、余五郎の若い眸には、ありありと不快ないろが燃えた。武蔵は、それを感じるのでなおさら、未然の警戒を、繰返したくなって、
「誇る者には誇らしておくに限る。小さな宿怨に、大禍を招いてはなりますまい。北条新蔵が仆れたからには、自分がなどと重なる遺恨を追って、また、前車の血の轍をお踏みなさるなよ。愚かです、愚かなことです」
そう忠言すると、彼は、玄関先からすぐ帰って行った。
二
――その後で、余五郎は、壁に倚りかかったまま、独りで腕を拱んでいた。
多感な唇が、かすかに、
「残念な……」
と、顫えを洩らした。
「新蔵までが、とうとう、返り討ちにされたのか……」
うつろな眼で、天井を見る。広い講堂も母屋も、今では、ほとんど無人のようにしんとしていた。
自分が旅先から帰って来た際には――新蔵はもういなかったのである。ただ、自分へ宛てた遺書だけがあった。それには、佐々木小次郎をきっと討って帰るとあった。討てなければ今生でお目にかかる折はもうあるまいとしてあった。
その、希わぬことの方が、今は、事実となってしまった。
新蔵がいなくなってから、兵学の授業も自然やすみとなり、世間の評は、とかく小次郎に加担して、この兵学所に通う者を卑怯者の集まりのように、また、理論だけで実力のない人間の