Classiques japonais avec furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lisez 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 508 883 caractères · 1017 écrans
と、新蔵はもう、身支度を直して、立ち上がった。
ひき止めても、きかないので、夫婦もぜひなく、送り出すと、ちょうどその店先へ、陽に焦けた顔に汗をたたえて、武蔵が外から戻って来た。
出合いがしらの眼をみはって、
「や。北条どの、何処へ出かけられるか。――何、御帰宅と。――そういう元気になってくれたことは欣しいが、一人では途中が物騒。よい所へ戻って来た。拙者が平河天神までお送りしよう」
と、武蔵はいった。
三
一応は辞退したが、
「何。――まあよい」
武蔵は受けつけない。
で、好意に甘えて、北条新蔵は彼に伴れられて、耕介の家を出た。
「久しく歩かれなかったから、ご大儀ではないか」
「何か、こう、地面が高く見えるようで、足を踏み出すのに、蹌きまする」
「無理もない。平河天神まではだいぶある。町駕が来たら、あなただけお乗りなさい」
武蔵がいうと、
「申し遅れましたが、小幡兵学所へは帰りませぬ」
「では、何処まで」
「……面目ない気もいたしますが」
と、新蔵はさし俯向いて、
「――一時、父の許へ帰るといたしまする」
と、いった。そして、
「牛込です」
と、行く先を告げた。
武蔵は、町駕を見つけ、強って新蔵だけを乗せた。