Classiques japonais avec furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lisez 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 508 883 caractères · 1017 écrans
おとといの侍は、一人であったらしいが、するどい眼ざしして、門内まで案内ものうはいり込み、茶室の路地にかがみ込んで、武蔵どののいる奥の部屋を頻りとのぞいて立ち去ったそうな」
「吉岡の者でしょう」
武蔵がいうと、
「私もそう思う」
と、光悦もうなずいた。
そして下男へ、
「きょうの三人連れは、なんというて来たのか」
と、訊ねた。
それに答えて、わなわな顫えながら、下男がいうには、
「はい……今し方、お職人衆もみなお帰りになりましたので、ここの門を閉めようといたしますると、どこにいたのか、三人連れのお侍方が、いきなり手前を囲んで、中の一人が、懐中から書状のような物を取出し――これを当家の客へ渡せ――と恐ろしい顔して申しまする」
「うむ……客といって、武蔵どのとはいわなかったのか」
「いいや、その後で申しました――宮本武蔵と申す者が、数日前から泊っているはずだと――」
「そしてお前はなんといった」
「わしは、かねて旦那様から口止めされてありましたで――どこまでも、そのようなお客様はおらぬと首を振りますと、いちどは怒って、偽りを申すな――と高声を張りかけましたが少し年老った侍がそのお人を宥めて、皮肉な笑い方をしながら、それではよい、べつな仕方で、当人に会って渡すから――と、そういって彼方の辻へ行ってしまいましたが」