Classiques japonais avec furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lisez 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 508 883 caractères · 1017 écrans
空に星一つない晩だけに地上の灯がよけいに燦めくのである。ちょうど蛍のかたまりを風が磨いでいるように。
「武蔵どの」
と、真ん中の駕のうちから後ろを振顧って光悦がいう――
「あそこです。あれが六条の柳町で――この頃町家が殖えてから、三筋町とも称んでいますが」
「アア、あれですか」
「町中を出離れてから、またこんな広い馬場だの空地だのを通って、その彼方に忽然と、あんな灯の聚落が現れるのもおもしろいでしょう」
「意外でした」
「遊廓も以前には、二条にあったものですが、大内裏に近うて、夜半などには、民歌や俗曲が、御苑のほとりに立つとかすかに耳にさわるというので、所司代の板倉勝重どのが、急にここへ移転させたものです。――それからまだやっと三年しか経ちませんのに、どうです。もうあの通りな町になって、なお拡がって行こうとしている」
「では、三年前には、まだこの辺は」
「ええ、もう夜などは、どっちを見ても真っ暗で、つくづく戦国の火の禍いが嘆じられるばかりであったものです。――けれど今では、新しい流行は皆、あの灯の中から出ているし、大げさにいえば、一つの文化をさえ生むところとなっているので……」