Classiques japonais avec furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lisez 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 508 883 caractères · 1017 écrans
頭の毛も、眉毛も、全身の毛髪はいうまでもなく、足の爪までが、生理的に動員されて、敵へ向ってそそけ立った戦闘の姿態を示しているのだった。
こう刀を構えて持つのは――青眼身となって戦うのは――伝七郎は自分の不得手であることを知っていた。だから、肱を上げ、真っ向に持ち直そうと、先程から幾度となく、切っ先を上げかけたが、どうしても上げられなかった。
――武蔵の眼が、その機を、待っているからである。
その武蔵もまた、青眼に刀をぴたりと――やや肱をゆるめに構えていた。伝七郎の肱の屈曲しているところには、めりめりといいそうな力が見えるが、武蔵の肱には手で押せば下へも横へも動きそうな柔かさが見える。――そしてまた、伝七郎の刀が前にもいったように、時折、位置を改めようとして動いては止め動いては止めしているのと反対に、武蔵の手にある刀は、びくとも動かなかった。その細い刀背から鍔にかけて、微かに雪がつもるほど動かずにあった。
十
彼の破綻を祈る、彼の隙をさがす、彼の呼吸を計る、彼に勝とうとする、飽くまで勝とうとする。八幡、ここぞ生死のわかれ目と思う。
そういう意識が、脳裡にちらついている間は、相手の伝七郎がまるで巨きな巌のように見え、