Classiques japonais avec furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lisez 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 508 883 caractères · 1017 écrans
「…………」
「然るに――其方たちが、剣の何物なるかも知らず、ただ形だけの勝敗を見、衆愚のうわさに惑わされて、武蔵如き者を稀世の人物だの、無双の達人だのと申すが、それでは、この小次郎が、叡山の大講堂で演舌した意見が、皆、嘘のように相成ってしまう。――無智な凡下どもの沙汰すること、取るにも足らんが、ここに居合わす中堂の方々にも一応聞いていただく必要があるし、また、汝らのいう誤った見方は、世上を害するものだ。――事の真相と、武蔵の人物をよう聞かせてやるから、耳の穴を掘って聞け」
「……へ。……はい」
「そもそも――武蔵とはどんな肚の男か。あの試合を仕かけた彼の目的からそれを洞察すると、あれは武蔵の売名にやった仕事だ。自分の名を売るために洛内第一の吉岡家へ向って、うまく喧嘩を売ったもので、吉岡はその図に乗せられて彼の踏み台になったものとわしは観る」
「……?」
「なぜならば、初代拳法時代のおもかげもなく、京流吉岡が衰えていることは、誰にだってもう分っていたことなのだ。樹なら朽木、人間なら瀕死の病人にひとしい。抛っておいても自滅するものを、押し倒したのが武蔵なのだ。