Classiques japonais avec furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lisez 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 508 883 caractères · 1017 écrans
「ああ」
と、そこへ身を投げて坐った。
お通は、どうしたのかと疑って、すぐ追いかけて来るなり、彼の膝に縋りついた。堅くなって、沈黙していた武蔵の顔が恐く見えた。なにか怖ろしく不機嫌に見えておろおろした。
「どうしたんですか。武蔵様……武蔵様っ……。なにか、お気に障ったのなら、堪忍してください、堪忍して」
「…………」
「武蔵様っ、もしッ……」
彼が堅くなっていればいるほど――また、恐い顔をしていればいるほど、お通はその胸へ、必死にしがみついて、揺れ騒ぐ花のように、花の気づかない香に彼を咽せ返らせた。
「――おいっ!」
武蔵はいきなりそういった。猛然と、彼の巨きな腕はお通を抱きしめて枯草の中へ仆れた。お通は白い喉首を伸ばして、声もあげ得ずに、彼の胸の中でもがいた。
三
槙の樹に、尾の長い縞鳥が、まだ少し雪のある、伊那山脈の空をながめていた。
山つつじが真っ紅に燃えている。――からんとして空は青い。枯草の下には、深山すみれが匂っていた。
猿が啼く、栗鼠がちらと跳ぶ、原始の地上だった。そこの一叢の枯草は深く折れていた。悲鳴をあげたのではないが、悲鳴に近い驚きをあげて、お通は、