Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lisez 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 508 883 caractères · 1017 écrans
武蔵は母屋の中の老婆が、権之助権之助と呼び立てると共に、小窓の下を離れて、この家を囲む立木の一部に身を隠していた。
するとやがて、
「どこにっ?」
と、権之助とよばれた息子は、裏から大股に素ッ飛んで来て、もいちど其処で、
「おっ母、なにがいたんだ?」
と呶鳴って訊く。
小窓に、老婆の影が立って、
「その辺で、今咳声が聞えたがの」
「耳のせいじゃないか。おっ母はこの頃、眼も悪くなったし、耳もとんと遠くなったからなあ」
「そうでない。誰か、窓から家の内を覗き見していたに違いない。煙に咽せた声じゃった」
「ふうん……?」
権之助は、十歩二十歩、その辺を、あたかも城郭でも見廻るように歩いて、
「そういえば、何だか、人間臭いぞ」
と、呟いた。
武蔵が迂濶に出なかった理は、闇に光る権之助の眼の実にらんらんと害意に燃えているためであった。
それと、足のつま先から胸いたにかけて、ちょっと当り難い構えを備えているので、それも不審に思い、何を持っているのか得物を確かめるつもりで、彼の歩みまわる影を凝視していると、右の手裡から小脇を後ろに抜け、約四尺ばかりの丸棒をしのばせていることが分った。