Classiques japonais avec furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lisez 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 508 883 caractères · 1017 écrans
それにまた、もう一つ武蔵を自重させた理由は、相手の権之助なる人間が、一体何者か、咄嗟に、見当がつかなくなったことである。
彼の振る棒には、一定の法則があるし、彼の踏む足といい、五体のどこといい、武蔵から見て、これは立派な金剛不壊の体をなしている。かつて出会った幾多の達人中にも考え出されないほど、この泥くさい田夫の体の爪の先までが、武術の「道」にかない、そして武蔵も求めてやまない、その道の精神力に光っているのだった。
――こう説明してくると武蔵にも権之助にも、お互いが敵を観る間を持って悠々構えているように思われるであろうが、事実は寸秒に次ぐ寸秒で、わけても権之助の棒は、眼ばたきする間も停止していない。
――おおうっ。
と、満身から息をしたり、
――えおおうッ!
と、踵を蹴って来たり、また、りゅうりゅうと棒の攻撃を改めてかかり直して来るたびに、
「この、どたぐそ」
とか、
「かったい坊め」
とか、口汚い方言で悪たれつきながら、打ちこんで来るのであった。
いや、棒に限っては、打ち込むという言葉は当らない。――それは打ち込みもするし、薙ぎもするし、突きもするし、旋しもするし、片手でも使うし、両手でも使う。