Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

Lisez 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 508 883 caractères · 1017 écrans

Aozora Bunko

水を一方に導き、堰を築き、石ころを退けて、幾十日の後には、やっとそこに、十坪の畑が出来かかった。

けれど、一雨降ると、一夜のうちに、また元の河原になってしまった。

「だめだよ先生。むだ骨ばかり折るのが、何も、戦の上手でもないだろ」

武蔵は、伊織にまでいわれた。

でも、耕地を変えて、ほかへ移る考えは、武蔵は持たなかった。

彼はまた、雨後の濁流と闘って、前と同じ工事をつづけた。

冬に入ると、屡、大雪が降った。雪が融けると、また濁流に荒らされてしまう。年を越えて、翌年の一月、二月になっても、二人の汗と鍬から一畝の畑も生れなかった。

食物がなくなると、伊織は、徳願寺へもらいに行った。寺の者もよくいわないとみえて、戻って来ると、伊織の顔つきに、憂いが見えた。

そればかりでなく、この二、三日は武蔵も根負けしたか、鍬を持たないのである。防いでも防いでも濁流になる耕地に立って、終日黙然と何か考えこんでいた。

「そうだ! ……」

或る時、何か大きな発見をしたように、武蔵は伊織へいうともなく、

「きょうまでおれは、土や水へ対して、烏滸がましくも、政治をする気で、自分の経策に依って、水をうごかし、土を拓こうとしていた」