Classiques japonais avec furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lisez 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 508 883 caractères · 1017 écrans
それが数年も前から続いて来たのである。要するに、当初は双方がまだ若く、衒気や覇気や壮気に充ちきっていた。そして力の互角した者同士が起しやすい摩擦から醸された感情と感情のくいちがいに過ぎなかった。
だが――
顧みると、京都以来、吉岡家の問題を挟み、また、火を咥えて彷徨って歩くような朱実という女性を挟み、今また、本位田家のお杉ばばという者を、その喰い交いの感情に挟んで、小次郎と武蔵とのこの世における面識は、宿怨といえないまでも、決して再び溶けないほどな、対立的な渠を深めて来つつあることは否み難い。
――ましてや、小次郎が、お杉ばばの観念を、そのまま自己の観念に加えて、あわれむべき弱者を扶けるという形に似た自己の行為のもとに、自己の歪んだ感情をも、正義化して考えるようになって来ては、もう二人の相剋は、宿命というほかあるまい。
「……寝たのか。……刀屋、刀屋」
耕介の店の前に立つと、小次郎は、閉まっているそこの戸を、かろく叩いた。
四
戸の隙間から明りが洩れている。店に人気はないが、奥では起きているに違いない――と小次郎はすぐ察していた。
「――どなたで?」