Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
こきょうしちじゅうねん
故郷七十年
柳田 国男
Lisez 故郷七十年 (こきょうしちじゅうねん) de 柳田 国男 (やなぎたくにお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 257 350 caractères · 507 écrans
森岡昌純という人だったが、それが私の褒状をもらった最初であり、県令閣下を見たはじめでもあった。
ついでに記憶を辿りながら、郷土の新聞のことを思い出して見たい。私らの子供のころの郷土紙は「神戸又新」であった。その名をどうして記憶しているかというと、私の北条にいたころ、家主の家の子が幸吉といういたずらっ子で、そいつが私の家へ来ていたずらをする。「幸」だから、私の弟の輝夫が「神戸又新、神戸又新」といってどなっていたからである。
私の長兄の鼎は、井伊大老が殺された万延元年に生まれたが、神戸の師範学校を出ていたので、十九歳で田原の小学校の校長になっていた。部下が三、四名あったのも、ほかの人はみな無資格者だったわけであろう。私はそのために早く学校にあげられた。長兄は二十歳で近村から嫁をもらった。しかし私の家は二夫婦の住めない小さい家だった。母がきつい、しっかりした人だったから、まして同じ家に二夫婦住んでうまくゆくわけがない。「天に二日なし」の語があるように、当時の嫁姑の争いは姑の勝ちだ。わずか一年ばかりの生活で、兄嫁は実家へ逃げて帰ってしまった。兄はそのためヤケ酒を飲むようになり、家が治まらなくなったので、もともと松岡家は医者だったからということで、家と地所を売り、その金で当時の東大別科に兄を遊学させることとなった