Classiques japonais avec furigana
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こきょうしちじゅうねん
故郷七十年
柳田 国男
Lisez 故郷七十年 (こきょうしちじゅうねん) de 柳田 国男 (やなぎたくにお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 257 350 caractères · 507 écrans
考えてみると、私が離郷する当時は、あの地方の荒蕪地の荒れ放題に荒れた末期であったのであろう。今日のように、豊に拓かれた田園や近代的な工場のある風景が見られるようになったのは、それ以後のことである。
ところで、この田原が故郷の地名であるために、私は何処へ旅をしても同じ地名があると必ずその由来などを調べるのであるが、これは遠く沖縄の八重山群島にまで、タバロなどといって分布している。つまり「たわら」とは、これだけは田にすることができるという、田の一つのブロックで、肥料などの関係からその全体を耕作するだけの能力がないため、半分ずつ、もしくは三分の一ずつ耕作してゆく所なのである。
昔の米作はこのように、耕作地全体を毎年耕作するのではなくて、年によって部分的に休ませ、その間に地味を養ったのである。ちなみに、山へ登る人たちがよく出会う地名の田代というのも、ほぼ同じような意味であって、田の候補地という意味である。
こういう農耕方式を採ったのは、当時の肥料が緑肥をもっぱらとしたためであり、いま裏日本の一部でも見られるような下肥を稲作に施すようなことは昔は考えもしなかった。