Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

こきょうしちじゅうねん

故郷七十年

柳田 国男

Lisez 故郷七十年 (こきょうしちじゅうねん) de 柳田 国男 (やなぎたくにお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 257 350 caractères · 507 écrans

Aozora Bunko

ところが、二十二歳の大学生の兄はジロリとそれを見て、笑いもしなければ、冷かしもしない。私はきまりが悪くなって、いきなりこんな歌を吟じてその場を胡魔化したのである。

敷栲の枕の下に太刀はあれど鋭き心なし妹と寝たれば

これは香川景樹の有名な歌だが、兄はそのときそれを知らなかった。「誰の歌だい」「知らんのですか景樹の歌だんがな」「へえ、そんな歌作ってるかね」兄ははじめてそれを知ったのである。

兄の下宿はいま東京湯島の順天堂のある地続きで、主人は大橋という名古屋の旧家の人だった。大変な蔵書家で、その本の中に景樹の本もあってそれを兄は見ているのだが、一つ一つ味わってまでは見ていなかったのであろう。

私は早熟で子供ながらに歌をやっていた。私の家に鈴木重胤の『和歌初学』というのがあり、四季四冊のほかに恋、雑の上・下など七冊になっていたが、この歌は雑の下に「枕」という題で収められていたものである。

こうした一場の滑稽劇があって、私たちは横浜に着いた。遠い沖の方からハシケで上陸して、駅までは少し離れていた。夜の八時ごろ、伊達な兄のことだから、学生のくせに二等車にのり込んだが、ほとんど車内は空いておって、子供二人をつれた女中の三人がいるだけ。