Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しんしゅうこうけつじょう

神州纐纈城

国枝 史郎

Lisez 神州纐纈城 (しんしゅうこうけつじょう) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 188 242 caractères · 380 écrans

Aozora Bunko

玄関にかかった老人は、「お頼み申す、お頼み申す」

二声ばかり呼んで見た。

しかしどこからも返辞がない。

老人は小首を傾げたが、さらにもう一度案内を乞うた。

すると遥かの奥の方から「オー」と返辞える声がしたが、それから小刻みの足音がして、やがて一人の小男が手燭を捧げて現われた。小気味の悪い傴僂男である。

「案内を乞うたはお手前達か?」

傴僂男は横柄に訊いた。

「ハイ、さようでございます」

老人は恭しく辞儀をした。

「で、何んぞ用事かな?」

「行き暮れました旅の者、近頃不躾のお願いながら、一夜の宿をご無心したく……」

「ははあ、それで参られたか。だがここは宿屋ではない」

「ハイハイさようでございますとも」

「鍵手ヶ原の療養園だ」

「ははあ、さようでございますか」

「すなわち直江蔵人様の、ご経営なさる病人の宿だ」

「ははあ、さようでございますか」

「病人なれば宿めて進ぜる。健康体ならお断わりだ」

すると老人はその眼の中へ一道の光を宿したが、にわかに弱々しく声を顫わせ、

「それはそれは何より幸い、私ことは世にも憐れな脱疽病者でございます」

「なに脱疽? おおそうか。ではよろしい通らっしゃい」