Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
しんしゅうこうけつじょう
神州纐纈城
国枝 史郎
Lisez 神州纐纈城 (しんしゅうこうけつじょう) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 188 242 caractères · 380 écrans
六
タッタッと後へ引き下がり、武士は構えざるを得なかった。
「おい、お侍、どうする気だよ。何とか早く形を付けてくれ。俺は本栖湖へ行かなけりゃならねえ」岩の上から甚太郎は焦立たしそうに声を掛けた。
「ゆっくりしろ」と、笑いながら、武士は岩へ腰をかけた。
「背後は絶壁下りることは出来ぬ。ただし本栖湖はその方角にある。前には俺が控えている。さあどこからでも下りて見ろ」
「おお本栖湖は絶壁の背後か。うん、よしきた、飛び下りて見せる」
甚太郎は黐棹を肩へ担ぐと谿の下口へ走って行った。
六
「小僧、そこから飛び下りる気か」武士は驚いて声をかけた。
「下は岩組、飛び下りたが最後、貴様の五体は砕けるぞ」
「いざ鳥刺が参って候……」甚太郎は鼻唄をうたい出したが、
「侍、それじゃまた逢おう!」
「あ、浮雲え!」
と叫んだ時には、甚太郎の姿は消えていた。
「無分別な奴だ」と罵りながら、武士は岩の上へ駆け上り谿間をきっと見下した。初秋の夕陽が赤々と谿の木々に当っている。突兀とした熔岩は角立った頂きを空へ向け、峨々累々と重なり合っている。そうして立ち初めた灰色の霧が、それらの岩々木々を包んで、次第にこっちへ立ち上って来る。