Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しんしゅうこうけつじょう

神州纐纈城

国枝 史郎

Lisez 神州纐纈城 (しんしゅうこうけつじょう) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 188 242 caractères · 380 écrans

Aozora Bunko

五

眼が覚めるようでござりますなあ。どこでお需めになりましたな?」

「うん、少しく訳があって、計らず手に入れた紅巾だが、これ甚兵衛よく見てくれ。そこらに文字が書いてないかな?」

「は?」と甚兵衛は訊き返す。「あの、文字とおっしゃいますと?」

「この布に文字が書いてある筈だ」

「へへえ、さようでございますかな。どれそれではもう一度」

こう云いながら甚兵衛は繰り返し布を調べて見たが、文字は愚か傷さえもない。

「今年私は六十五。眼も駄目になりましょうよ。何んにも見えませんでございます」

「ふうん、お前にも見えないかな」

「はい、そうして若様には?」

「実は俺にも見えないのだ」

「さてはお嬲りなされましたな」

「しかし昨夜はよく見えた」

五

「それは本当でございますかな」

「俺は思わず顫えたものだ」

「何んと書かれてございましたな」

「月の光に黒々と、冒頭に『謹製』と書かれてあった」

「謹製? ははあ、謹製とな? ――それから何んとありましたな?」

「『土屋庄八郎昌猛』と、こう鮮かに書いてあったぞ!」

上衣に裁っても下衣に裁っても十分用に足りるだけの幅も長もあったけれど、不思議のことにはその紅巾は蝉の羽根のように薄いところから、掌の中へ握られるほどにまた小さくもなるのであった。