Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
しんしゅうこうけつじょう
神州纐纈城
国枝 史郎
Lisez 神州纐纈城 (しんしゅうこうけつじょう) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 188 242 caractères · 380 écrans
二
錦の帳が波立った。そこへ当たっていた龕の灯が、襞の処だけを暗くした。
と月子の声がした。
「昔々近江の国、琵琶湖の岸の朝妻に、白拍子が住んでおりました。『おぼつかな伊吹おろしの風さきに朝妻船のあひやしぬらん』可哀そうな歌を詠みました。それをお公卿様へ送りました。一度逢って二度とは来ない、薄情な薄情なお公卿様へ」
二
源之丞は隣室へ耳を澄ました。「朝妻船の物語か。うむ、悲恋の物語だな。全く恋にも色々ある。逢えぬ恋、逢った恋、別れた恋、見ざる恋。そうして俺達二人の恋は、脅されている恐ろしい恋だ」
月子の声が聞こえて来た。
「悲しいことにはお公卿様からは、何んの返辞もございませんでした。それで白拍子は小舟に乗り、琵琶の湖へ乗り出しました。春の夕暮れでございました。満月が空へかかりました。面紗を冠った満月が。微風、水鳥、花咲いた水藻、湖水は平かでございました。烏帽子、水干、丹塗りの扇、可哀そうな失恋した白拍子は、揺られ揺られて行きました。風よ吹けよ、浪よ立てよ、舟もろともに水底へ、妾の体を葬れよ。……で白拍子は泣きました。流した涙が壺の中へ、一杯に溜ったと申します」